AI活用のヒント 速いAIと、考えるAI。「システム1・システム2」で見るAIモデルの選び方
心理学でいう「システム1(速い思考)」と「システム2(遅い思考)」は、いまのAIモデルの違いを理解するのにも役立ちます。すぐに答えるモデルと、考えてから答えるモデルの使い分けを解説します。
Amir Nouri ・ ・ 2分で読めます
心理学者で行動経済学者のダニエル・カーネマンは、著書『ファスト&スロー』で、人の思考を2つに分けて説明しました。直感的にすばやく判断する「システム1」と、注意を払って順を追って考える「システム2」です。この区別は、いまのAIモデルの違いを理解するのにも役立ちます。
システム1型:すぐに答えるモデル
一般的な大規模言語モデルは、質問を受けるとすぐに文章を書き始めます。膨大な文章から学んだパターンをもとに、もっともらしい言葉を次々とつないでいく、直感に近い動き方です。
- 得意な仕事:文章の下書き、要約、分類、翻訳、問い合わせの一次対応など、型が決まっている仕事
- 強み:速く、費用が安い。大量の処理に向いている
- 弱点:複数の条件を組み合わせる計算や、手順の長い判断では、もっともらしい間違いをすることがある
システム2型:考えてから答えるモデル
2024年ごろから、答える前に内部で考える過程を持つ「推論モデル」が広く使われるようになりました。問題を分解し、途中の結果を確かめながら答えにたどり着くので、人のシステム2に近い動き方をします。
- 得意な仕事:条件の多い見積もり、データの突き合わせ、トラブルの原因の切り分け、計画づくりなど、手順を踏む仕事
- 強み:複雑な問題ほど、正確さが上がりやすい
- 弱点:答えが出るまでに時間がかかり、費用も高くなりやすい。簡単な仕事には過剰になる
使い分けの目安
人も、すべての仕事をじっくり考えてこなしているわけではありません。AIも同じで、仕事の性質に合わせて使い分けるのが基本です。
- 毎日大量に発生し、型が決まっている仕事:システム1型
- 間違えたときの影響が大きい、条件の多い判断:システム2型
- 迷ったとき:まずシステム1型で試し、間違いが出る場面だけシステム2型に切り替える
組み合わせると、速くて確かになる
実際のAIエージェントでは、両方を組み合わせることがよくあります。受け付けや分類はシステム1型がすばやく処理し、判断が必要な案件だけをシステム2型に回す。人の組織で、定型の仕事は担当者が処理し、難しい案件は経験のある人が見るのと同じ形です。
速さが必要な場面と、正確さが必要な場面を分けること。それがモデル選びの出発点です。
どちらのモデルを使う場合も、重要な操作の前に人が確認する仕組みは欠かせません。研究でも、AIが得意な仕事と苦手な仕事では、AIを使った結果が逆になることが報告されています( 同じAIでも、業務によって結果は逆になった )。
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