AI活用のヒント

RAGとメモリ。AIに「覚えさせる」2つの方法の違い

社内資料を探して答えるRAGと、仕事の中で知ったことを残すメモリ。どちらもAIの知識を補う仕組みですが、役割は別物です。違いと使い分け、組み合わせ方をまとめました。

Amir Nouri 3分で読めます

資料の束とつながる惑星の軌道を描いた図

「AIに自社のことを答えさせたい」「前回の話を覚えていてほしい」。AI導入のご相談で、いちばん多いのがこの2つです。前者に使うのがRAG、後者に使うのがメモリ。どちらもAIが知らないことを補う仕組みですが、何を補うのか、どう補うのかが違います。

RAG:必要なときに資料を探して読む

RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)は、質問を受けるたびに社内の資料を検索し、関係する部分をAIに渡してから答えさせる方法です。AIのモデルそのものは変えず、答えるときの「手元の資料」を用意する、と考えるとわかりやすいでしょう。

  • 向いているもの:マニュアル、社内規程、商品情報、過去の問い合わせ対応など、すでに文書になっている知識
  • 強み:資料を更新すれば、答えもすぐに変わる。答えの根拠として、どの資料のどこを使ったかを示せる
  • 注意点:資料が古い、あちこちに散らばっている、内容が食い違っていると、それがそのまま答えに出る。検索で見つからなかった情報は使えない

メモリ:仕事の中で知ったことを残す

メモリは、会話や作業の中でわかったこと(お客様の好み、社内で決まったルール、前回の対応の結果など)を短い記録として残し、次の仕事で思い出す仕組みです。資料を探すのではなく、経験を積み重ねていくイメージです。

  • 向いているもの:担当者ごとの好み、案件の経緯、「この取引先には必ず納期を確認する」といった運用上の決まりごと
  • 強み:同じ説明を何度もしなくてよくなる。使うほど、自社の仕事のやり方に合ってくる
  • 注意点:何を覚えさせ、何を忘れさせるかの管理が必要。間違った記憶は間違い続けるので、確認して直す手順が欠かせない

ひと言でいうと

RAGは「会社の本棚」、メモリは「担当者のメモ帳」です。本棚には誰かが書いた正式な情報が並び、メモ帳には仕事の中で知ったことが書き込まれていきます。

  • 情報のもと:RAGは既存の文書、メモリはAI自身のやりとり
  • 更新のしかた:RAGは資料を直す。メモリは記録が増えていくので、定期的に確認して直す
  • 得意な質問:RAGは「規程ではどうなっている?」「この商品の仕様は?」、メモリは「前回はどう対応した?」「この方の希望は?」

どちらから始めるか

多くの会社では、RAGから始めるのが近道です。すでにある資料を使えるので効果が見えやすく、答えの根拠も確かめられます。そのうえで、同じ説明の繰り返しや引き継ぎの手間が目立ってきたら、メモリを加えます。

実際の運用では、2つを組み合わせるのが一般的です。たとえば問い合わせ対応なら、商品の仕様はRAGで資料から、そのお客様との過去のやりとりはメモリから、という分担になります。

導入前に確かめたい3つのこと

  1. 資料の状態:最新版はどれか。担当者ごとに別々の版を持っていないか
  2. 覚えさせてよい情報の範囲:個人情報や機密情報をどこまで扱うか
  3. 間違いを直す人:AIの答えや記憶が誤っていたとき、誰がどう直すか

Orreryでは、導入の最初にこの3点を一緒に整理します。自社の場合はどこから始めればよいか迷ったら、 無料AI業務診断 でご相談ください。

ご案内

業務の流れを教えてください。AIで一番時間が浮く場所をお見せします。

無料AI業務診断(30分)